● 長崎への贅沢な旅路
「七夕は旅の空」
「七夕は旅の空」は、２００１年夏に、長崎への２度目の訪問を書いたものです。
この時に初めて使った全日空の超割は、当時は全便全席が売り切れるまで１万円という破格の制度で、松坂大輔が出演する「ハンバーガー計画」CMは有名になりました。
当時社会人２年目だった私は、ある程度生活にも余裕ができ、１万円ぽっきりの格安航空券を利用して、あちらこちらへ行ったものです。それまでの鉄道しか利用しなかった旅の主義が大きく変わり始めたきっかけとなったのでした。
 |
| 改築前の長崎駅 |
長崎へ初めて行ったのは、さらに５年前、１９９６年盛夏のことでした。それまで、小旅行は多かったものの、大型のリュックと寝袋を買い、約１０日間の九州一人旅に出かけた私は、途中広島でホモの浮浪者にからまれたり、夏祭りが真っ只中の枕崎で、地元のヤンキー達と駅で野宿をしたりしながら旅を続け、６日目の朝、京都からの夜行列車でやって来た友達グループと博多で合流しました。その後、佐世保線経由で佐世保、さらに大村線のシーサイドライナーで長崎へ到着したのは昼過ぎでした。駅前で全員でちゃんぽんを食べ、すぐに解散、３時間ほどの自由行動で集合したのは４時くらいだったでしょうか。またすぐに普通列車に乗って博多に着き、友人達は再び夜行列車で九州を後にし、私は、「ドリームにちりん」で、宮崎へ向かいました。
今にして思えば、むちゃくちゃな旅行でした。せっかく友人と会っても、一緒にいたのは電車の中とちゃんぽんの間だけですし、彼らにしても、２泊３日で２泊とも座席の夜行列車でした。
しかしながら、当時、こんな馬鹿げた旅が心底楽しくて、現地で食べる立ち食いそばや駅弁が、何にもまして美味しく感じられる時代でした。特急に抜かれてばかりの各駅停車の旅でも、久しぶりに会った友人との馬鹿話が、楽しくてしょうがない一日でした。
 |
| 高架化前の佐世保駅ホーム |
「七夕は旅の空」に長崎へ行く一番贅沢な手段は、寝台特急「さくら」で２０時間かけてのんびりと行くことである、と書いてありますが、その「さくら」も２００５年２月一杯で廃止になります。
「さくら」で長崎へ行き、１９９６年の思い出を逆に辿りながら、今日私は帰京しました。次に長崎へ行くときは、もう飛行機しか選択することはできません。
（2005/2/13執筆）
|
|
